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(1) 賃金は勤労者(労働者に該当する)の尊厳性を保障し、生計を維持するための唯一で必須不可欠な手段であるため、個別勤労者と労働組合にとっても最大の関心事項であり、労働法の保護対象における核心事項である。現行の賃金体系の二元的な賃金構造(｢通常賃金｣または｢平均賃金｣)によって、実務では賃金を管理する際、法院の判例及び雇用労働部(厚生労働省に該当する)の行政解釈に基づき、通常賃金または平均賃金の範囲を幅広く判断して運用している。ところで、通常賃金の概念は労使間における労働契約を結ぶ際に、労働力をいかに評価したのかに着目して探さなければならないので、事前的・評価的な意味の賃金概念である。だが、具体的な通常賃金の問題点としては、(ⅰ)通常賃金の概念が明確ではないため、判例と行政指針の解釈及び賃金管理上の混乱を招いていること、(ⅱ)行政解釈の場合、固定的に支払われる手当てと賞与金を通常賃金に含ませていないこと、(ⅲ)各種の手当てを新設することで、賃金体系が奇形的な形となっていること、(ⅳ)賃金体系の単純化․柔軟化にも障害になっていること、などが挙げられる。実務的にはいまだに賃金構造において加算賃金を算定するために、労使間の葛藤と法律的な争点(いわば｢包括算定賃金｣)で、通常賃金の算定範囲と算定方法などが問題となる。本研究では、まず現行の勤労基準法(労働基準法に該当する)で通常 賃金の概念及び算定基準(Ⅱ)、通常賃金に対する判例及び行政解釈の傾向について争点となっている各種の手当てなどが通常賃金であるかどうかを、一般論と具体的な事案として区別し考察する(Ⅲ)。そして今後、通常賃金の算定基準に対する政策課題を検討する(Ⅳ)。(2) 実務上の賃金支給形態がとても多様で歪んでいる賃金構造として通常賃金に当たる手当てであるかを判断するのには難しさがあった。よって、現在韓国の二元的な賃金構造の改善方策を昔から議論してきた。これに対し、学者らは、いわば｢標準賃金｣の概念に基づき、賃金体系の単一化の必要性及び多様な改正の方向を主張し、議論されてからもはや約20年が経過しているにもかかわらず、目立った進展がない。大法院判例の傾向は次第に通常賃金の算定範囲を拡大する趨勢であるが、現実的に企業で賃金制度を運用する態度は、判例の法律的判断に合っていない。特に、｢包括算定方式の労働契約｣による賃金制度を運営するに当たり、法院の判断は従来の柔軟な判断から少々厳しくなったことを考慮すると、このような賃金構造の二元化の問題は改善しなければならない課題であることが確である。これに対し、｢労使関係制度の先進化方案｣で提案しているように、現行の通常賃金の問題点を考慮する際、通常賃金の改善方策として通常賃金の算定から変動的なものを除いた固定的に支払われるすべての給与を通常賃金に含む提案も説得力があると見られる。そして、このような法律的な判断と現実の賃金体系運営の格差を縮め、これを支える賃金制度の政策を樹立するために猶予期間を設け軟着陸をさせるには、その概念が｢標準賃金｣であっても単一化されている賃金体系の運用を中長期的な課題として議論しなければならない。また社会保障と公共サービス領域が拡大される中で、前向的に賃金保護を柔軟化させる方向も模索する必要がある。
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