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在日文学者主体の文芸誌である『民涛』は1987年11月に創刊され、1990年3月、10号まで発行された季刊誌で、｢民衆の涛(People’s Waves)｣というその題名で標榜しているように、創刊から終刊まで一貫して在日一般大衆の｢民衆文芸運動｣の実践と、｢在日者のための文芸広場｣を設けるという雑誌の指向性を固守しようとした。これまで『民涛』は在日朝鮮人が発行した雑誌の系譜のなかでマイノリティに位置するところから来る制約のため、ほとんで研究されていない。本稿ではまずこの雑誌に対する書誌的な考察を中心に『民涛』の内容的特徴とその指向性を見てみた。具体的には編集方針と特集企画、民衆文化運動の実践、収録の文学作品などを検討することで、『民涛』が知識人たちのみが享有しやすい談論空間を越えて、｢民衆文芸｣を重んじ、在日3世代の登場を中心に新たな｢在日の独自性｣を浮彫りにしようとしたことを論じた。
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