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現代日本では、超常現象やあの世への関心が高まっている。そうした関心はどこから来るのか。その理由を、日本仏教の歴史の中から拾い上げることが本稿の課題である。それには仏教において浄土信仰が生まれ、それが日本に伝わり、さらにどのような変化を被ってきたのかを明らかにしなければならない。本稿の構成は以下の通りである。第1章では、本稿の課題と先行研究について述べた。さらに第2章では、浄土信仰とはどのような内容を持っているのかを、原始仏教にまでさかのぼって説明を加えている。その上で、その浄土信仰が仏教伝来とともに日本に伝わり、特に平安時代において隆盛を極めるようになった経緯を述べるのが第3章の課題である。それに続く第4章では、浄土信仰の大きな転換点である、末法という考え方に焦点をしぼっている。それは、平安時代中期に末法という時代意識が浸透するようになって、浄土信仰に第一の大きな意味転換がもたらされたからである。特に第5章では、『往生要集』というあの世への案内書に着目し、この世の現実を否定したことの重要性が説かれる。本論の最終章である第6章では、浄土信仰の第二の意味転換である鎌倉仏教、とりわけ浄土宗と浄土真宗の成立について考察している。
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